■売却時の税金が強烈に高い

 売買にかかるコストよりもずっと負担になるのが、国に取られる税金だ。仮想通貨を取引したことで得た利益に関しては当然、税金がかかる。扱いは「雑所得」。ほかの所得と合わせた総合課税方式での課税となる。

 そのため所得税に関しては、課税所得195万円以下の5%から、4000万円超の45%まで7段階で課税されることになる。住民税の税率は一律で約10%だ。

 つまり、ビットコイン急騰で年間4000万円超の利益を上げた人は、その利益の約55%を税金として徴収されてしまうことになるのである。

 株や投信、FXで得た利益は、どれだけ高額で、年収が高くても、分離課税方式(所得とは別扱いで課税)なので税率は復興特別所得税を含めて一律20.315%。損失が出た場合、その後の3年間の利益と損益通算もできるのに比べると、税金面では不利だ。

 確定申告も必要になるが、年収2000万円以下の給与所得者(会社員)で、給与・退職所得以外の所得20万円以下なら確定申告をする必要はない。

 また、課税されるのはあくまで、ビットコインで得た利益を日本円に換金したり、ビットコインの利益で買い物をした場合のみ。たとえ大きく値上がりしても、ビットコインとして長期保有している間は課税されることはない。

 今後、買ったビットコインが値上がりしたら、焦って売らずに、税制のハードルが下がり、税金が安くなるのを待ちつつ長期保有するのも一考だ。(経済ジャーナリスト・安住拓哉)

※AERA増刊『老後資金が1000万円貯まる! つみたてNISAとiDeco入門』より

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安住拓哉

安住拓哉

出版社勤務を経て2021年に独立。経済関連記事全般が得意。取材・執筆歴20年以上。雑誌の取材記事の他、単行本のライティングも数多く手掛ける。

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