グーグル翻訳のスマホアプリには「リアルタイムカメラ翻訳機能」がある。カメラを向けるととらえたテキストを瞬時に翻訳(撮影/写真部・大野洋介)
グーグル翻訳のスマホアプリには「リアルタイムカメラ翻訳機能」がある。カメラを向けるととらえたテキストを瞬時に翻訳(撮影/写真部・大野洋介)

 翻訳エンジンの精度が向上した今、もはやネイティブ並みの英語力は必要ないのでは? グーグル翻訳の手助けで、英語力は「拡張」できる。要は、「手直し力」なのだ。

 グーグル翻訳がここまで支持されるようになったのは、精度の向上もさることながら、必ずしも皆が「ネイティブが見て自然でこなれた英語」のレベルを求めているわけではないからだろう。英語に関するニーズは多様化している。

 限られた目的を果たすというレベルなら、グーグル翻訳の力で到達できることもある。

 九州大学大学院修士1年の城野一樹さん。高分子化学という分野の研究をしているが、昨年、グーグル翻訳を使って英語論文を書き上げた。

 城野さんの指導教授である三浦佳子さんによれば、これまでは英語の論文を書くのは博士課程以降の学生だけ。修士の学生には英語論文は書かせてこなかったという。研究室の学生は、理系ということもあり、文系の学生と比べると、英語を苦手に思っている学生も多い。論文を読むことは問題なくても、書くとなるとハードルが高すぎると判断していた。だがグーグル翻訳の精度が上がったといううわさを聞き、試してみてピンときた。「これがあれば意外とできるかも」

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