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「非正社員」の処遇改善を阻む3つの壁

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江畠俊彦AERA#働き方

「強い会社というよりも、いい会社になりたい」(※写真はイメージ)

「強い会社というよりも、いい会社になりたい」(※写真はイメージ)

正社員・無期契約に転換する主な動き(AERA 2018年2月26日号より)

正社員・無期契約に転換する主な動き(AERA 2018年2月26日号より)

 日本企業は非正社員を重要な戦力と位置づけ、処遇の改善を進める。優秀な人材を求めて、正社員登用への積極的な姿勢を示している。

【図表】スタバやユニクロはどう変わった?正社員・無期契約に転換する主な動き

 ある自動車会社の工場では毎日数十人と面接する。組み立て工程で働く契約社員だ。あらかじめ契約期間が決まっているので、期間従業員とも呼ばれる。

 この会社では東南アジアをはじめ新興国で売れ行きが伸び、エコカーも好調で、工場はつねに増産を求められる。新たな機械の導入や、生産中の製品が流れるコンベヤーを速くするといった手を打つが、間に合わない。自動車は部品が2万点ほどあり、電動装置をつなぐ電線の配置など、機械では難しい作業もある。

 とはいえ1日8~10時間、立ちっぱなしで同じ作業を繰り返すのはつらい。体力面で40歳が限界だとされる。最初の1カ月以内で6、7割は辞めてしまう。だから採用面接を続けている。

 業界各社とも状況は大きく変わらないようだ。働き手の奪い合いは激しくなるばかりで、契約社員の待遇はうなぎ登り。社員寮は無料や格安、朝食つき、水道光熱費も会社持ち。契約締結時に着任祝い金、満了時に満期祝い金も支給する。年間の給与総額は入社1年目の正社員を上回るほどだという。

 それでも、ある製造業の労務担当役員は、「正社員は解雇の制約が厳しい以上、一気には増やせない」と明かす。自動車や電機などでは季節的な需要の変動に合わせて生産数量、つまり生産現場の人数を増減させる必要があるからだ。

 経営側の都合で整理解雇をする場合、人員削減の必要性、解雇回避義務の履行などの4要件を満たすことが求められる。時期によって生産数量が上下することは当てはまらない。

 そこで工場では、「棲み分け」が形づくられた。箱詰めや出荷前の検品といった比較的簡単な補助作業を非正社員が引き受ける。製造装置の運転や危険物の取り扱いといった経験や資格が必要な基幹業務を正社員が手がける。正社員の安定雇用を重視した結果だ。自動車業界では「生産現場の人員は非正社員が3割」が理想だという。


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