人工肛門とは腹部に開けた穴から腸を引き出して作る排泄(はいせつ)口(ストーマ)。装具をつけて排泄物を受け止める仕組みだが、想像もつかない人がほとんどだろう。内田さんも、「最初はおしりの後ろに何か硬いものが装着されるのかと思っていた(笑)」という。

 子どもたちのほうが事実を受け入れるのは早かった。初めてがんを伝えたときは「死なない?」と聞かれたが、「死ぬようながんじゃないよ」と答えた。人工肛門を画像検索した次男の感想は「梅干しみたい」。手術の説明に付き添った長女に「かあちゃんが変わるわけじゃないから」と言われ、内田さんは「私やっぱり本当にがんなんだなぁ」と実感したという。

「手術が終わってみたら、実際そう変わるわけでもなかった(笑)。彼女が予言してくれたからこそ、そう感じられるところもあると思うんですけれど」

 術前と術後に抗がん剤を各6回×2クール行った。予想に反して頭髪は抜けず、「やけくそで金髪にしたら、周りからはかえって元気な人だと思われてしまった」そう。

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