竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信「忙しい時期にこそ大切にしたいこと」(※写真はイメージ)竹増貞信「忙しい時期にこそ大切にしたいこと」(※写真はイメージ)
「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 社会人にとって、スケジュール管理は最も大切なルーティンの一つです。私にとってもそれは同じ。仕事の優先順位を判断して、会うべき人に会い、聞くべきことを聞く時間をつくるためには、適切なスケジュール管理が不可欠です。怠ると、チャンスロスにつながる恐れもあります。

 人それぞれ、管理の仕方は違うでしょう。手帳やウェブ上のツールを駆使している人もいるかもしれません。私は基本的に秘書に任せていますが、大切にしているのは「空白の時間」をつくることです。月に一度は最低1、2時間、1人だけになる時間を確保するようにしています。もちろん、ビジネスアワーの中で、です。

 それはなぜか。大きな経営判断をすべきとき、中期的な方向性を示さなければいけないときは、これまでの情報を整理して並べ直し、自分の中で腹落ちさせる必要があります。世界の動きはどうなっているのか、その中での日本の立ち位置はどこか、私たちはその中心にいるのか、大きく見逃していることはないか。こうしたマクロな視点とそれまでにインプットしたミクロの情報をシンクロさせて、「時代の流れ」をつかまないと正しい判断はできません。

 スケジュールを詰め込みすぎて思考力が落ちれば、判断の精度も落ちる。1人で散歩しながら「空白の時間」を過ごすことで、頭がすっきりクリアになることもあるのです。

 もう一つ意識しているのは、たとえ細切れでも「聞く時間」を大切にすること。社内には、私の耳に入れておきたいと思ったことはコトの大小で躊躇せず何でも話してほしいと言っています。5分でも10分でも、現場からの話はちゃんと聞く。どこにいても、会ってもメールでも電話でもいい。

「忙しそうだから報告しない」ゆえに「必要な情報が入ってこない」という事態は防がなければなりません。私の部屋は出入り自由です。

 忙しい中で、情報や気持ちをいかに整えるか。「空白の時間」は続けていきたいと考えています。

AERA 2018年1月1-8日合併号

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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