「あまりにも理不尽でひどい」記者が見たエルサレム「首都宣言」の代償  (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「あまりにも理不尽でひどい」記者が見たエルサレム「首都宣言」の代償 

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ガザ地区で、トランプ大統領のエルサレム首都宣言にタイヤを燃やして抗議するパレスチナ人の若者たち (c)朝日新聞社

ガザ地区で、トランプ大統領のエルサレム首都宣言にタイヤを燃やして抗議するパレスチナ人の若者たち (c)朝日新聞社

 トランプ米大統領が、エルサレムをイスラエルの首都と宣言する「パンドラの箱」を開けた。猛反発するパレスチナやイスラム諸国で抗議や混乱が広がっている。

 ユダヤ教、イスラム教、キリスト教の聖地が集まるエルサレム旧市街。トランプ氏の宣言があった12月6日夜、旧市街の壁に巨大な米国旗とイスラエル国旗が映し出された。計画したエルサレム市のバルカット市長は「米国はユダヤ人、イスラエル国家、エルサレムと共に立つという明確なメッセージを送る歴史的な宣言だ」と称賛した。

 旧市街のイスラム教の聖地にあるアルアクサ・モスクには8日、数万人のイスラム教徒が金曜日の集団礼拝に訪れた。エルサレムはイスラム教徒にとってサウジアラビアのメッカ、メディナに次ぐ第3の聖地。パレスチナ各派は6~8日を「怒りの日」と名づけ、各地で抗議行動を行った。

 礼拝終了後、旧市街のダマスカス門前にはパレスチナ人数百人が集まり、「米国は悪の代表だ! エルサレムはアラブ人の街だ!」と声をあげた。群衆の一部が石やペットボトルを投げつけると、警官隊は銃をかまえて威嚇し、パレスチナ人の衣服をつかんで立ち退かせた。

 抗議行動はパレスチナ自治区各地に広がり、治安当局との衝突が続く。ヨルダン川西岸や、ガザ地区のイスラエルとの境界ではパレスチナ人がタイヤを燃やし、イスラエル軍に石を投げつける。対する兵士は催涙ガス弾やゴム弾などで応射する。

 宣言以降、ガザ地区の武装組織はイスラエルに10発以上のロケット弾を発射。うち数発はイスラエル南部の住宅街に着弾し、車数台が損傷した。イスラエル軍はガザを実効支配するイスラム組織ハマスの軍事施設を標的に報復空爆を続ける。パレスチナの赤新月社(赤十字に相当)によると、空爆や双方の衝突でハマスの戦闘員2人を含むパレスチナ人4人が死亡、2千人以上が負傷した。

 イスラエル軍の報復空爆で市民の巻き添え被害も出ている。記者がガザ市内の病院の小児病棟を訪ねると、生後6カ月の男の子ユセフ・アブシュキヤンちゃんが苦しそうに泣いていた。30針縫った頭は包帯で巻かれ、顔は傷だらけだ。祖母ムダララさん(75)は憤る。


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