エドと弟のアルは幼い頃、病死した母親を蘇(よみがえ)らせようと「禁じ手」である「人体錬成」に挑むが失敗。エドは身体の一部を、アルは身体のすべてを失い、かろうじてエドはアルの魂を鎧(よろい)に定着させた。兄弟は、失った身体を取り戻す旅を続ける。
──アルはフルCG。「共演」は大変だったのでは。
アルとのシーンはほとんど、何もない、誰もいないところで泣いたり叫んだり。激しく殴り合う兄弟げんかのシーンも、僕一人です。室温40度を超える真夏のスタジオでの撮影は、かなり過酷でした。38度の外気が「涼しい」と感じたくらい(笑)。ワンカットごとにとてつもない時間をかけたシーンなので、印象深いですね。
僕はもともと集中したり想像したりするのは得意。だから、実際は目の前にいないアルとの芝居でも、自分の中ではビジョンが見えていたんです。もちろん、一人では感情を表現するのが難しいシーンもありましたが、できあがった作品を見て、「どうしてこんな芝居ができたんだろう」と自分で驚きました。作品の力に引き寄せられたんだと思います。
VFXやCGを使った派手なシーンもこの映画の見どころですが、一番の魅力は人間のはかなさやもろさ、そして強さが、繊細かつ緻密に描かれているところなんですよね。
──先ほどもお話に出ましたが、Hey!Say!JUMPのみなさんは、もうご覧になったんですね。
メンバーの反応がこんなに良かった作品は初めてです。彼らも演じる側の人間なので、僕の苦労をわかってくれたんだと思う。しみじみ「お前すげえな」と言ってくれて。
この作品では、イタリアなど、海外で現地のクルーと一緒に仕事をする機会を得ました。まだまだ自分には学ぶことが山ほどあるんだと気づかされたし、視野も広がりました。もっと国際的な場面で活躍できる役者になれたら、すてきだと思っています。
(構成/ライター・まつざきみわこ)
※AERA 2017年12月11日号