うれしいことに、長年の木更津への片想いも報われつつある。新市長、渡辺芳邦の理解により、木更津市からの万博開催への協力も得られるようになった。「(今年は)木更津市がこっちを振り向いてくれた元年」になったと綾小路は喜びを隠さない。この11月には、市制施行75周年を記念した式典で、俳優の中尾彬と共に木更津PR大使にも任命された。

「先輩や同級生に認めてもらいたくて始めた氣志團万博だったけど、今はあの頃の俺たちが体験できなかったことを、今の地元の若者たち、子どもたちに体感してもらえればと思ってます。生で観たら、聴いたら、感じたら人生変わるようなモノ、コトを提供して、次の世代につなげられたらいいな」(同)

 地元があって生まれたロックがあり、ロックが変える地元がある。ネットを媒介にした情報の高速化、共有化が進む中、東京も地方も変貌を続ける現代にあっても、この関係は意外としぶとくて力強い意味を持っている。(文中敬称略)

(ライター・松永良平)

AERA 2017年12月11日号より抜粋