家事・育児に損得勘定を持ち込むと、割り切れなさばかりが募る(撮影/鈴木愛子)
家事・育児に損得勘定を持ち込むと、割り切れなさばかりが募る(撮影/鈴木愛子)

 仕事と育児とを両立する男性が少しずつ増えてきたようだが、その一方で「昭和の父親像」の残火を灯す男性も。男性の既得権益へのこだわりは、いきすぎると恐ろしい事態を招くこともあるようだ。

 家事と育児は妻に任せて、自分は仕事に専念する。子どもには広い背中を見せておけば、遊び相手にならなくても、憧れを抱いてくれる。そこにあるのは、極度に美化された昭和的父親像への、一方的なノスタルジーだ。

 恋バナ収集ユニット、桃山商事の清田隆之さんが、波紋を呼んだ牛乳石鹸のウェブCMに抱いた違和感は、「共働きらしいのに、男性目線で捉えられた家事・育児のヤバすぎるディテール」と、「損をしたくないという男性側の強烈で矮小な意識」だった。

「家事と育児は女性の仕事だったハズなのに、いまでは義務として降りかかる。仕事の時間も趣味の時間も削られて、オレはものすごく損をしてるんじゃないか。あの男性には、親世代に対する嫉妬に近い感情もあったように感じます」(清田さん)

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