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“エクソシスト”は現代の救世主 ヨーロッパで悪魔祓いが流行る理由

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中村千晶AERA
東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中。監督:フェデリカ・ディ・ジャコモ/2016年/イタリア・フランス/94分/日本語字幕:比嘉世津子/配給・宣伝:セテラ・インターナショナル (c)MIR Cinematografica-Opera Films 2016

東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開中。監督:フェデリカ・ディ・ジャコモ/2016年/イタリア・フランス/94分/日本語字幕:比嘉世津子/配給・宣伝:セテラ・インターナショナル (c)MIR Cinematografica-Opera Films 2016

映画「悪魔祓い、聖なる儀式」でエクソシズムを行うカタルド神父。このあと、女性に異変が…… (c)MIR Cinematografica-Opera Films 2016

映画「悪魔祓い、聖なる儀式」でエクソシズムを行うカタルド神父。このあと、女性に異変が…… (c)MIR Cinematografica-Opera Films 2016

 初老の神父が女性と対峙している。聖水をかけると彼女の体が揺れ出し、地の底から響くような声で叫び始めた──。ドキュメンタリー映画「悪魔祓い、聖なる儀式」のショッキングな冒頭シーンだ。1973年に大ヒットした映画「エクソシスト」に描かれたような儀式が、いまイタリアで多く行われている。

【写真】映画の一場面はこちら

 そもそもエクソシストとは何か。90年代後半からイタリアでエクソシストを取材してきたノンフィクション作家の島村菜津さんは解説する。

「エクソシストは悪魔祓い(=エクソシズム)の儀式を行う人のことです。現在、バチカンの司教に任命された404人が公式エクソシストと認められています。最も古いエクソシストはキリストで、聖書には悪霊に取り憑かれた“白目を剥く少年”や“大声で叫び続ける墓に住む男”が登場し、それをキリストが追い払う様が描かれています」

 映画の主人公・カタルド神父はシチリア島のエクソシストだ。彼のもとには毎日、遠方から人々が押し寄せる。フェデリカ・ディ・ジャコモ監督は神父のミサに何度も通い、信頼を得て撮影に成功した。監督は話す。

「エクソシズムを受けて“憑き物が出てきた”状態になった人は顔つきも声もすさまじく変わります。それが超自然的なものかはわかりませんが、そのときの彼らの目に何か邪悪なものを感じたのは事実です」

 島村さんも数回、エクソシズムに立ち会った経験がある。

「まっすぐ立っていた人が突然、蛇のようにウネウネと不思議な動きをしたりする。儀式後その人に触ってみると、ものすごく筋肉が硬直しているんです」

 儀式によって何かのスイッチが入り、肉体的な発散と解放が起こる様子を感じたという。

「数人の儀式を見た経験から、私はエクソシズムを非常に洗練された演劇療法だと捉えています。エクソシスト歴10年の神父も『体が宙に浮くなどの超常現象レベルは一度も見たことがない』と言います。あり得ないほどの馬鹿力を出す人もいますが、それも人間の能力の範囲内だと言い切るエクソシストさえいます」(島村さん)


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