竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信「人材交流が生んだ新しいビジネス」(※写真はイメージ)
竹増貞信「人材交流が生んだ新しいビジネス」(※写真はイメージ)

「コンビニ百里の道をゆく」は、40代のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

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 今年7月、交通系電子マネーを使って決済する「設置型コンビニ」の「プチローソン」をスタートさせました。

 高層階で働く方々は、ちょっとそこのコンビニまで買い物に行くのにも時間がかかります。仕事に集中しているときは、小腹がすいた、のどが渇いた、でも中断したくない、ということもあるでしょう。プチローソンはそんなニーズに応えるためのものです。現在は200カ所ほどですが、ご紹介や新規注文も多く、2017年度末には1千カ所まで拡大させる予定です。

 キャッシュレスであらゆる価格帯の商品を揃えることができ、クラウドのデータで在庫状況をリアルタイムで確認できます。オプションで冷蔵庫や簡易型のコーヒーマシンも設置できて、ちょっとした買い物のために外出せずにすむとご好評を頂いています。

 このプチローソン、実は他業種との人材交流でローソンに来てくれた若手女性社員が中心となって進めたものなんです。最初は店舗で「現場」を体験してもらい、本社勤務となったとき、現場での気づきや他業種での知見を基にアイデアを出して、実現に向けて自ら動いてくれました。

 彼女は自ら感じた問題意識を企画に昇華させ、それを発信して、どんどん周りを巻き込んでいった。自身のこれまでの仕事と人脈を生かして、交通系カードのパートナーとも自分で交渉。実際のビジネスの立ち上げでは、運営、商品、デリバリーなどの各部門のベテラン社員たちがサポートしました。

 違う文化を持つ社員の斬新な発想が周囲を動かし、会社を動かし、ビジネスが立ち上がった。私たちも、外からの視点や意見を取り入れて自分たちの強みを伸ばすという経験ができた。非常に良い事例だと思います。

 今後もどんどん、こうしたチャレンジを続けていきます。自分のアイデアをロジカルな言葉で仲間に説明し、周りを巻き込みながら新しいビジネスをつくっていく。これこそが、仕事の醍醐味ですから。

AERA 2017年11月27日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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