田中美穂「永瀬清子の地に足のついた言葉に敬意と親しみ」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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田中美穂「永瀬清子の地に足のついた言葉に敬意と親しみ」

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古本屋「蟲文庫」店主・田中美穂さんの読書遍歴を振り返る(※写真はイメージ)

古本屋「蟲文庫」店主・田中美穂さんの読書遍歴を振り返る(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は、古本屋「蟲文庫」店主の田中美穂さんです。

*  *  *
 古本屋になって間もない頃、近所の人が売りにきてくれた本の中に永瀬清子の詩集や随筆集があった。郷土の詩人として名前だけは知っていたが、読むのは初めてだった。自己を見つめながら生命や自然への愛をうたった、地に足のついた言葉に敬意と親しみを覚えた。しかしそんな矢先、訃報に接した。

 詩集『あけがたにくる人よ』の中に「苔について」という作品がある。これは現在私が事務局を務めている「岡山コケの会」の創設者・井木張二氏と京都の西芳寺(苔寺)を訪ねた時に書かれたものなのだそうだ。ニアミスのような形で、おふたりともにお会いできずじまいとなったのだが、妙に近しく感じてしまう。そして私の最初の著書である『苔とあるく』では、扉にこの詩を載せることができた。

 永瀬清子には、詩や随筆の他に『短章集』という作品もある。詩が生まれる瞬間が活写された散文のような作品群で、こちらも愛読している。(続)

AERA 2017年11月20日号


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