田中美穂「『ベルリン物語』の彼らの姿は高校3年生の内面にも不思議と響いた」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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田中美穂「『ベルリン物語』の彼らの姿は高校3年生の内面にも不思議と響いた」

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古本屋「蟲文庫」店主・田中美穂さんの人生の読書遍歴は?(※写真はイメージ)

古本屋「蟲文庫」店主・田中美穂さんの人生の読書遍歴は?(※写真はイメージ)

 子どもの頃読んで忘れられない本、学生時代に影響を受けた本、社会人として共鳴した本……。本との出会い・つきあい方は人それぞれ。各界で活躍する方々に、自身の人生の読書遍歴を振り返っていただくAERAの「読書days」。今回は、古本屋「蟲文庫」店主の田中美穂さんです。

*  *  *
 1989年、高校3年の時にベルリンの壁が崩壊した。押し寄せた群衆が壁をよじ登り、ハンマーで叩き壊している様子をテレビのニュースで見ながら、ずっと『ベルリン物語』のことを考えていた。

 当時ジャーマンロックやノイズ音楽が好きだったことや、映画「ベルリン・天使の詩」の影響などもあり、ドイツに関するものを手当たり次第に読んでいた中で出会った本だった。

 壁に囲まれた占領地という特異な街・西ベルリンで、明日の見えない不安や鬱屈を抱えつつ暮らす人々の日常を、まるで飛び込んでいくかのような著者の視点で描いたルポルタージュだ。「居場所」を求める彼らの姿は、日本の田舎の高校生の内面にも不思議と響くものがあった。

 数年後、初めて訪ねた東京で井の頭公園を歩いていたら、なんと向こうから橋口譲二さんが。あんまり驚いた顔をしたせいだろうか、すれ違いざまに少し微笑んで下さった。(続)

AERA 2017年11月6日号


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