同社はVRのヘッドセットを開発するOculus(オキュラス)を2014年に買収。今年4月には、VRヘッドセットをかぶると、VR空間内に集まって友達と会話をしたり、物をつかんだり、絵を描いたりできるコミュニケーション用VRアプリ「Facebook Spaces」を発表した。

 数万円で買える一般向けのVRヘッドセットなどの製品の販売が相次いだ昨年は、日本でも「VR普及元年」と言われた。VRはゲームなどで広がりつつあるが、直接会わなくても、複数の人たちと情報や体験を共有できるため、未来のコミュニケーションツールの本命だと言える。

 VRコミュニケーションに注目するのは、Facebookだけではない。今年6月に正式に始まったのが、VR空間内の部屋を作って、そこで会議やイベントができるサービス「クラスター」だ。ネットにつながるパソコンやVRヘッドセットがあれば誰でも無料で使える。

「VR上での会議なら、無駄な移動も省けます。それに、リアルだと会えない人とも議論ができる。クラスターで開発者会議をしたときには、サンフランシスコにいる著名な開発者の方がふらっと参加してくれたことがありました」

 と運営会社のクラスター(東京都品川区)CEOの加藤直人さんは話す。

 かつてSFで描かれてきた世界は、もうそこまで来ているのだ。(編集部・長倉克枝)

AERA 2017年10月30日号より抜粋