あまの・ひろし/静岡県浜松市生まれ。2014年、ノーベル物理学賞受賞。15年から名古屋大学未来エレクトロニクス集積研究センター長(撮影/鈴木芳果)
あまの・ひろし/静岡県浜松市生まれ。2014年、ノーベル物理学賞受賞。15年から名古屋大学未来エレクトロニクス集積研究センター長(撮影/鈴木芳果)

 青色LEDの発明に成功し、2014年に赤崎勇名城大学終身教授、中村修二米カリフォルニア大学教授と共にノーベル賞を受賞した天野浩名古屋大学特別教授。研究熱心で知られ、学生時代、夜になっても明かりが消えない研究室は「不夜城」と揶揄(やゆ)された。1500回以上失敗を重ねてもあきらめなかった、不屈の精神と集中力の源流はどこにあるのか。

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 勉強は好き嫌いがはっきりしていました。算数は大好きでしたが、社会と生物は嫌い。

 社会は地図記号が覚えられなくて、一度テストで0点を取ってしまったことがあります。なぜ記号にしなければならないのか、なぜ覚えなければいけないのかが分からず、受け付けなかったんですね。生物が嫌いになったのは、カエルの解剖でホルマリンのにおいが苦手だったからです。夏休みに宿題で出されるドリルも、まじめな子はちゃんとやっていましたが、私は後ろの答えを写すだけ(笑)。とにかく面倒くさがりだったんです。

 小学生のころはマンガが大好きで、サンデー、マガジン、チャンピオン、ジャンプ……だいたい全部読んでいました。マンガを読むスピードは友人の誰にも負けなかった。私が読み終わる頃に、友人が半分読み終わるくらい。推理小説も大好きで、犯人を予想していました。集中力や思考力を養う、いいトレーニングになったと思います。

 母は税務署、父は自動車会社に勤めていました。「勉強しろ」と言われたことはないですが、テストだけは見せていた。点数をどうこう言われた記憶はなく、ホルマリンが苦手だと話したら「医者は無理だね」と言われたくらい(笑)。内心は心配していたかもしれませんが。

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