「28日の会見で国政復帰を否定したが、女性初の総理の座を射止めるには、今が最大のチャンスだ。政党支持率が自民に迫るようなら出馬に踏み切る可能性はある。総理にたどり着くチャンスなどそうそうない」

●小沢一郎が動いた

 結党宣言から3日後の28日には、民進党を事実上吸収。一気に反自民の受け皿をつくった格好だが、その下地はすでにできていた。解散報道後、自由党の小沢一郎代表は周辺に、

「小池が出る可能性がある」

 民進党の前原誠司代表は頻繁に小沢氏と会談を繰り返した。

「野党4党との共闘とは別の野党再編にも動き出した。仮に希望との共闘になる場合、小池氏を野党統一の首相候補とする選挙協力で話がまとまったというのが大筋の見方です」(鈴木さん)

 小池氏は2008年、女性議員として初めて自民党の総裁選に立候補。愛犬、ヨークシャーテリアの「ソウちゃん」の名前の由来は総理大臣。小池氏にとって悪い提案ではない。

 前原氏は希望の党への合流を提案した28日の両院議員総会で「名を捨てて実を」と訴え、

「もう一度政権交代を実現して、自分勝手な、政治をゆがめさせる安倍政権を退場に追い込みたい」とアクセルを踏んだ。

 小池氏は野党自民党時代の12年、女性宰相候補のインタビュー集(『女性宰相待望論』自由社)で、こう話している。

「『政権交代』を最大の目標とした民主党が政権を担当するようになりましたが、まだ本当の意味での政権交代はされていません。これは万年野党だった『女性による政権』という意味です」

●首相の甘い勝敗ライン

 その準備も始まっている。政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、こう指摘する。

「綱領を発表した会見の日、小池氏は仲がいい複数の自民党議員に片っ端から電話をかけている。政権を担うとなると、大臣、副大臣、政務官と優秀な100人の人材が必要。いまの顔ぶれでは組閣できない。自民党議員の一本釣りを狙っている」

 もっとも、電話を受けたある自民党議員によれば、

「希望の党に誘われるのか、対抗馬を立てられるのか、緊張して電話を受けたが、『すごい勢いですね』と言うと、『いやいや』と、何でもない話だった」

 小池氏は電話越しに、こう口にしたという。

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