「めちゃくちゃ楽しい」

 人気はあっても組織とお金のない希望の党。民進党議員の一部吸収によって、その不安も解消されたということか。民進党の立候補予定者は希望の党から公認を得ることになるが、この判断も小池氏の手中にある。

「細野氏から誘われていたが、小池代表就任後には連絡が途絶えた民進党の議員もいる。希望の党の公認は安保法制と憲法改正が踏み絵。枝野幸男氏や辻元清美氏など、党幹部クラスでもリベラル派は公認されないようだ。第2民進党と言われるのを避ける狙いもある」(角谷さん)

 希望の党が過半数をとり、政権をとる可能性はあるのか。

自民党が過半数割れすれば、小池氏が細川護熙氏の側近として支えた日本新党が仕掛けた自民・共産を除く野党連合による政権奪還も考えられる。小池氏は首相指名に山口那津男氏がいいと発言するなど、公明党に秋波を送っている。そもそも、創価学会婦人部など、安倍政権を快く思わない人は多い」(同)

 安倍首相は、内閣支持率の回復により、9月上旬の情勢調査で議席数がマイナス15~30にとどまったことから解散に踏み切ったとされる。ただ、解散に非難が集まると勝敗ラインを自公で過半数と設定。自民だけで約100議席近く失っても“勝利”という甘すぎる設定だ。

●安倍政権を批判

 一方、小池氏は衆院選出馬を否定するが、角谷さんは「小池氏はまだ出馬を探っている」と指摘する。

「10月10日の公示までまだ時間はある。世論調査などで自公の過半数割れが現実的になってくれば、小池氏は出てくるだろう」(同)

 27日の会見では衆参14人の国会議員が小池氏を囲んだ。「寛容な改革保守政党を目指す」など綱領の六つの柱を挙げた。「保守」「改革」という言葉を連呼し、広く支持を得ようとする姿勢が見えた。

 小池氏は記者会見で、「北朝鮮情勢がこういうなかにあって、政治空白がいいのか。いいはずがありません」と、改めて安倍政権を批判。すでに主要政策でも消費増税の見送りや原発ゼロといった自民党などとの違いを打ち出しているが、安保法制や憲法改正には前向きな立場だ。小池氏はタカ派で知られ、希望の党には保守色の強い中山恭子参院議員(日本のこころ前代表)もいる。

 朝日新聞の世論調査結果(9月26、27日)では、回答者の7割が安倍首相の解散理由に納得していない。上昇傾向に転じた内閣支持率も、最新の世論調査では不支持率が再び上回った。自民党の獲得議席によっては安倍首相の責任論も出かねない。メディアをジャックする小池劇場が続くのか。早晩、小池氏の「希望」の先にある「野望」も、顔を出してくるだろう。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年10月9日号