「北綾瀬駅周辺は、保育園の定員数は多いものの、近隣の東綾瀬、大谷田、青井なども含めて都市再生機構(UR)や東京都住宅供給公社が提供する新しい大規模共同住宅が立ち並ぶ。結果、需要が多くなったと考えられます」
同じ足立区でも、日暮里・舎人ライナーの高野駅は潜在待機児童数は21人と少なく、マンションの価格帯は変わらない。西日暮里駅や日暮里駅へのアクセスを重視するなら、こちらのほうが狙い目だ。
足立区は区内を13ブロック49地域に分けて待機児童数を把握しており、ブロックごとに偏差があることは認識しているという。区の待機児ゼロ対策担当課の担当者によれば、待機児童数が多い地域は「綾瀬」「梅田」「千住」だ。
偏差の大きい地域の保育施設整備を優先しているほか、通勤経路など利用者の動線上と想定される地域にも保育施設を整備することで、特定の地域に保育需要が集中しないよう対策を考えているという。
●再開発とタワマンが凶
ワーストランキング上位の駅はいずれも、周辺で再開発があったり、大規模マンションが建ったりしたことで、子育て世帯の転入が増え、需要が増えたという背景がある。
潜在待機児童数212人で2位の中央区・勝どき駅も同様だ。だが、同区広報課の担当者によれば、特有の事情もある。
「中央区は自転車やバスなどで地域間を容易に行き来できる広さで、駅間も近距離。最寄り駅周辺だけでなく、隣接する駅周辺や、地域をまたいで保育園に通う方も多くいます。そのため、区全体を一区域として待機児童対策や整備計画を策定しています」
確かに、下位の築地市場駅(潜在待機児童数はマイナス7)、京橋駅(4)、銀座一丁目駅(6)には住宅地が少なく、勝どき駅と月島駅(96)を除けば、比較的偏差は小さい。
3位は168人の大島駅、4位は165人の豊洲駅と江東区内の駅が並んだ。同区では、131人の西大島駅も10位にランクインしており、区全体で潜在待機児童数が多い。やはり、駅前に公営住宅があったり、新築マンションが増えたりしたところだ。
大島、豊洲、西大島の各駅は、ともに新築マンション価格が5千万円台。同区では、111人と西大島駅の次に潜在待機児童数が多い南砂町駅が、4千万円台。前出の榊氏は言う。