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北朝鮮とトランプの「狂気の応酬」クライシス

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藤田直央AERA#ドナルド・トランプ

米朝両政権の舌戦はひとまず落ち着いたが…(※写真はイメージ)

米朝両政権の舌戦はひとまず落ち着いたが…(※写真はイメージ)

「狂気には狂気なのかな」と日本外務省の幹部がつぶやく。再び緊張を高めた米国のトランプ、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)の両政権の舌戦は、ひとまず落ち着いた。

 目を引いたのはトランプ大統領だ。8月8日、ゴルフ場での薬物対策の会議。記者が「北朝鮮の核能力に関する報道」についてコメントを求めると、待ち構えていたように語り出した。

「これ以上米国を威嚇しないことだ。世界が見たことのない炎と怒り、はっきり言えば力に直面するだろう」

 すると朝鮮中央通信は9日、8日付の北朝鮮軍の声明を配信する。弾道ミサイルを扱う戦略軍の報道官が、新型中距離弾道ミサイル「火星12」で米軍基地があるグアム島周辺の射撃を検討中と表明した。7月の北朝鮮によるICBM(大陸間弾道弾)級のミサイル発射に対抗し、米軍が戦略爆撃機をグアムから朝鮮半島上空に飛ばしたことなどへの「警告」とされた。

 騒ぎは広がる。マティス米国防長官は「体制崩壊につながる行為をやめよ」と声明で牽制。北朝鮮の戦略軍司令官が「グアムへの射撃は島根、広島、高知の上空を通る」と発表したと伝えられると、日本政府は各県に急遽、迎撃ミサイルを配備。小野寺五典防衛相はグアム攻撃が集団的自衛権を行使できる日本の「存立危機事態」になりうると国会で発言し、物議を醸した。

 まずいと思ったのか、14日に金委員長が「米国の様子をもう少し見守る」と述べたと朝鮮中央通信が報道。トランプ氏は16日午前4時39分に「金は賢明な判断をした。さもなくば破滅だった!」とツイートした。

 米国を狙う核ミサイルを北朝鮮が持ちつつあり、駆け引きが両トップの「狂気」に委ねられる現状は新たな危機と言える。(朝日新聞専門記者・藤田直央)

AERA 2017年8月28日号


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