小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)。
小島慶子(こじま・けいこ)/タレント、エッセイスト。1972年生まれ。家族のいるオーストラリアと日本との往復の日々。近著に小説『ホライズン』(文藝春秋)。最新刊は『るるらいらい 日豪往復出稼ぎ日記』(講談社)。

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

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 ピコ太郎さんが宣伝に一役買っているSDGs。人間の暮らしと地球環境を共に持続可能なものにしようという国連の取り組みです。と、聞いてもあまりピンとこないかもしれませんね。

 SDGsは17の目標を掲げています。貧困や飢餓をなくし、教育や医療を行き渡らせ、クリーンなエネルギーや安全な水の普及を目指すだけでなく、ジェンダーの不平等や経済的な格差の是正、経済成長と人間らしい働き方の両立など、人が尊厳を保ち、豊かさを享受できる世の中にしようと謳っているのです。もちろん、気候変動への具体的な取り組みや、海や陸の資源を守ることなども含まれています。

 それらは別々のことのように見えて、全部一つのキーワードでつながっているのですね。「どこに生まれるかを選べず、よその星には引っ越せない私たちの誰もが安心して暮らしていけるように、力を合わせよう」

 市場では、SDGsに配慮した経済活動をする企業が高く評価されるようになっています。人権と環境を守ることが、重要視されているのです。

 ところで、気候変動に関するニュースで私がいま気になっているのが、ヒカリボヤと氷山です。熱帯の海にいるはずの発光するホヤが太平洋東部で大発生。透明なピクルスのようなヒカリボヤが、アラスカのサケ漁に大打撃を与えています。マボヤを食べる日本人が食べて減らすしかないのでは?!と思わず調べたところ、まだチャレンジした人はいないようです。酢醤油なんかでいけそうですが。

 そして、南極の棚氷からついに分離した重さ1兆トンの巨大氷山。三重県サイズの氷山がアルゼンチンに接岸したら、あるいはニューヨークまで北上したらどうなるのでしょう? ペンギンは乗っているのか? 海水の変化は? 疑問や心配は尽きません。

 ホヤと氷山とSDGs。夏休みの自由研究にオススメです。

AERA 2017年8月14-21日号

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小島慶子

小島慶子

小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。共著『足をどかしてくれませんか。』が発売中

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