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「撤回」が流行? “政治家の失言”その裏にある本質とは

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福井洋平AERA

これだけの発言が「撤回」されてきた(AERA 2017年8月14-21日号より)

これだけの発言が「撤回」されてきた(AERA 2017年8月14-21日号より)

 政治家の失言がこの1年ほど絶え間なく続いている。もちろん発言自体は目に余る。だが、より問題なのは、それを安易に「撤回」させることなのではないか。

【さまざまな政治家たちが発した失言はこちら】

 秘書への暴言・暴行で話題となった豊田真由子衆院議員らの「魔の2期生」。だが、問題は2期生だけではない。大ベテランの河村建夫元官房長官が豊田議員を「あんな男の代議士はいっぱいいる」と擁護、訂正と発言取り消しに追い込まれたのだ。

 失言と言えば東日本大震災から6年が経過した今年、復興を担当する行政の長が2人続けて「失言」で辞任した。一人は「東北のほうだったから良かった」の今村雅弘復興大臣で、もう一人は務台俊介復興政務官。昨年9月に台風の被災地を視察した際に長靴を持参せず、水たまりを同行者におんぶされて渡り非難されたが、今年3月に都内で開かれた自身の政治資金パーティーでその件を受け「たぶん長靴業界は、だいぶ儲かったんじゃないか」と発言した。

 なぜ、そんなことを言ったのか。務台氏によるとパーティーの直前に地元、長野で防災ヘリの墜落事故があり、あいさつ前にはゲストの国会議員が「おんぶ事件」について言及したので会場はかなり沈んでいたという。

「めげてないということを支援者の方々に伝えようと、リップサービスのつもりで言ったということです。その場では皆さん普通に聞いていてくださったんですが、多くの人を傷つける結果になってしまった」(務台氏)

 復興2トップに限らず、政治家の「失言」は連打され、盤石と思われた安倍政権にひびを入れている。戦後の政治家失言を約800ページの大著『政治家失言・放言大全』にまとめた政治評論家の木下厚さんは、「小選挙区制が導入されて派閥の力が落ち、党内で議論する下地がなくなって発言の質が下がった」と嘆く。同書をひもとくと失言や放言は絶えず繰り返されていることがよくわかるが、近年のそれは終戦直後と質的に違うと木下さんは考える。


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