●頼みの支持率が続落

「反自民の市民団体にデモへの動員の有無を確かめたが、連絡はなかった。閣僚や自民党議員の不祥事が続き、極めつきは安倍首相の『こんな人たち』発言。反原発、安保法制や共謀罪反対の市民グループのほか、特定の思想や政治団体に属さない普通の人がSNSを通じて集まった」(井手さん)

 デモには、見覚えのある団体も参加していた。先頭を歩いたのは、大学生を中心とした政治を考える市民団体「未来のための公共」だ。メンバーで大学生の中山美幸さん(22)は、

「両親が特定の政党を支持し、自分の投票行動にまで口を出されたことで、政治への関心を持つようになりました。父親からデモについて『共産党の集まりだろ?』と言われ、ショックでした。メンバーは漠然と政治に不安を持つ普通の人。納得のいく説明を求めているだけです」

 貧困・格差問題に声を上げる市民団体「エキタス」もデモに参加していた。メンバーの藤井久美子さん(38)は、専門学校卒業後、アパレル関係の職を派遣社員として転々とした。

「手取りはどの仕事も20万円程度。雇い止めになると就活を支える貯金もないから、また有期契約の派遣の仕事に頼る――その繰り返し。いつまで不安定な状態が続くのか。働く世代にも政府は目を向けてほしい」

 都議選後、内閣支持率は日本テレビ31.9%、朝日33%、読売36%と続落。森友学園、加計学園問題での説明責任もなお不十分だ。安倍首相は8月上旬にも内閣改造に踏み切る構えだが、支持率を上昇させる切り札は見当たらない。2007年の参院選での歴史的大敗から内閣改造後も支持率が回復せずに終わった第1次安倍政権の姿がだぶってくる。(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年7月24日号