例えば、世界中の株価の動きを示す指数のひとつに「MSCI」がある。このMSCIに連動するタイプのETFに投資しておけば、“国際分散投資”が低コストで可能になる。

 地政学リスクが高まった時には、永世中立国であるスイスの株式市場に投資ができるETF「UBSスイス株」、あるいは先進国全体の株式に投資する「UBS先進国株」などもある。これらのETFは信託報酬(運用手数料)もそれぞれ0.2%、0.3%とかなり割安だ。

 さらに、危機を迎えた時に、とっておきの資産防衛術になるのは、市場が下落した時に利益が出る「インバース型ETF」だ。具体的に挙げると、例えば東京証券取引所(以下、東証)に上場している銘柄の中には、日経平均株価に連動する「日経平均ダブルインバース・インデックス」がある。この銘柄は、日経平均の動きの反対方向に価格がダブル(2倍)で動くように設定されている。この他にも、TOPIXに連動する「TPダブルインバース」などがある。
インバース型は短期で

 ただ注意すべきなのは、インバース型は長期にわたって保有すると価格が下落する特徴がある。このため、1年以内の短期投資にとどめるのが賢明だ。投資のタイミングとしては、「株価が下落する」と予想する時。リスク回避のため、投資額全体の10分の1程度の資金をインバース型に投じるのもいい。

 また、ETFは株価だけではない。原油や金の価格にも連動するETFが数多くあり、急激な株価下落やドル安(円高)の時には、金や原油が上昇するため、資産防衛策の一つとして活用もできるはずだ。

 投資家の資産防衛を得意とする「ヘッジファンド」を使った運用方法もある。ヘッジファンドのヘッジとは「回避」を意味し、そもそもリスクを回避するファンドという意味だ。

 もっとも、ヘッジファンドというと一部の富裕層を対象とする「私募」での募集で、最低投資金額も数千万円というイメージがある。一般人には縁のない世界と思われがちだが、最近は庶民でも十分に活用できるものも増えてきたようだ。

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