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すれ違う、黒田日銀と市場の対話、かみ合わない「出口」戦略

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藤田知也AERA#お金#企業

ほめられて嬉しい? 右がバーナンキ前FRB議長(撮影/朝日新聞経済部・藤田知也)

ほめられて嬉しい? 右がバーナンキ前FRB議長(撮影/朝日新聞経済部・藤田知也)

 金融緩和の「出口」に口をつぐむ日本銀行。説明を求める声は与党からも出るが、日銀が耳を貸す様子はない。

 米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)の前議長、ベン・バーナンキ氏が日本銀行本店にやってきた。5月24日のこと。日銀主催の国際会議での講演で、こう語った。

「すべてがうまくいけば、今の日銀の緩和策でも物価目標の達成に十分かもしれない。物価の押し上げを放棄するなら、それは最も失望的な結末だ」

 インフレターゲット(物価目標)の提唱者で知られるバーナンキ氏にそう持ち上げられて、会場にいた黒田東彦・日銀総裁は「うむ」と深くうなずいた。我が意を得たり、という思いなのだろう。

●2%未達あり得ない

「2年で実現する」と約束した2%の物価目標が4年を超えて達成できなくても、黒田総裁はまだまだ意気軒高だ。

 5月10日に東京都内であった講演でも黒田総裁は「大切なことはやり遂げることだ」と強調した。それは、目標達成までは緩和の手を絶対に緩めない、という決意表明でもある。続く質疑では、物価上昇に懐疑的な見方をこうも牽制している。

「世界の中央銀行の間で、なかなか2%に達成しないから1%にしようという議論はありません。逆に3%とか、より高い物価目標を設定してデフレに陥らないようにすべきじゃないか、という議論さえあります」

 2%へのこだわりが人一倍強い黒田総裁にとって、緩和の出口は物価目標の達成後の話でしかあり得ない。ただ、日銀は来年度に2%になるとの物価見通しを示すが、目標達成時期の見通しは4年間で5度も先送りした「前科」があるため、今やそれを信じる人は皆無に近い。これが出口の議論を複雑にしている。

 出口論が熱を帯びてきたのは、与党内から説明を求める声が上がったのがきっかけだ。自民党行政改革推進本部(本部長=河野太郎・元行革担当相)が4月に首相官邸に出した提言が、こう警鐘を鳴らしたのだ。


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