「たとえ5型でも、スペシャルなものをつくればいい」

 1999年、sacaiを立ち上げた。自分がやりたいと思ったことは、スタッフを巻き込みながらチームの力で成し遂げていく。トップというのは孤独なものだが、

「私は孤独だとは思いません」

 ときっぱり。

「信じてついてきてくれた人たちに恩返しがしたいと思う日々です」

 趣味は仕事。長期休暇はいらない、と思うほどだ。実際、表紙撮影や蜷川実花との対談中も終始笑顔で楽しそう。キュートな一面ものぞかせたが、ショーのリハーサルでは表情が一変する。

「真剣な顔つきですよね。モデルの歩くスピードが速すぎないか、転ばないか、服のバランスはどうか。すべてを見ていますから」

 来年で20年目。何か一つ達成するごとに、「何かダメだったことはあるか」と思い返す。そしてまた新しい服作りに挑む。その繰り返しで、いまがある。(編集部・柳堀栄子)

AERA 2017年6月19日号