「君は新宿の女性のいる店に行っているらしいじゃないか。注意したまえ」

 なぜ、そんなことを知っているのか。だから今回の読売新聞の報道には再び驚いた。

「今、一番恐れているのは、マスコミも官邸側に遠慮し、報じるべきことを報じないことだ。これは国民の知る権利の大きな危機と考えます」

●松野大臣も可哀想

 25日、菅官房長官は記者会見で、前川さんが文書の存在を認めたとする朝日新聞の報道に、「文科省が行った調査結果では、存在は確認できなかった」と改めて文書の存在を否定した。

 さらに、引責辞任した前川さんに対し、「責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に恋々としがみついていた」と強く非難した。前川さんは本誌の取材に、「天下りの問題で、単に処分を受けるだけではダメだと考え、今年の1月5日、私から大臣に辞職をお願いした。官邸からクビにされたわけでもなく、逆恨みなどない」と話している。官邸は人格攻撃をすることで、辞任させられた逆恨みから怪文書を作り、官邸に打撃を与えようとしたというストーリーを作りたいのだろうか。

 現在、前川さんがボランティアとして関わる地方の民間教育団体が取材に応じた。職員は、

「新幹線に乗って、毎週来てくれます。夜間中学で高齢者の方が新聞を読む手伝いをしたり、連休にもかかわらず憲法記念日には、資料を準備して憲法のお話をしてくれたりしました」

 感謝の気持ちを伝えた際、前川さんはこう言ったという。

「本当に人の役に立つ活動だから、参加できて本当にうれしい」

 26日、前日の菅官房長官の記者会見を受け、前川さんは本誌に語った。

「あるものをないと言え、と文科省に迫るのはやめてほしい。松野大臣も関係する職員も可哀想だ」(編集部・澤田晃宏)

AERA 2017年6月5日