40歳を超えての、中国での転職はやはり困難でしたが、私は1社目の中国系ニュース通信社も2社目も知人の紹介で入ることができました。人の縁を大切にすることが、転職成功の秘訣だと思います。中華圏は特に人の紹介、コネが大事。日頃の付き合いはもちろん、日本に来るときはおむつや薬など大量の買い物を頼まれますのでいつも大量の荷物を抱えて中国に帰っています。「愛されキャラ」でいるほうがいいというアドバイスももらいました。中国人の中で日本人が仕事をするとよくも悪くも目立ちます。どんな仕事でも引き受け、積極的なあいさつやコミュニケーションといった気遣いを欠かさず、自分を通して日本を知ってもらおうという意識でやっています。

 仕事のやり方も日本と中国とはかなり違います。ただ、「だから中国の人はダメなんだ」「日本ではこんなことはしない」といったものの言い方はNG。「日本のユーザー向けには、こういったやり方でやったほうがいいんじゃないかな」といった言い方でお願いするほうがいいですね。語学力だけを見れば日本語ができる中国人のほうがハイレベルで人件費も安いのですが、よくも悪くもストレートなものの言い方をする中国人、中国流のやり方に戸惑う日本人の懸け橋になることを意識してやっています。

(構成/編集部・福井洋平)

AERA 2017年5月22日号