山梨県都留市は「長く働ける」分野で上位に食い込んだ。65歳以上の1次産業以外の就業率が17%と比較的高く、起業支援制度や社会参加の支援制度も整えている。仕事や社会参加の場を見つけることができれば、全く地縁がない町に高齢になって移り住んでも人とのつながりができ、溶け込んでいくことが容易になる。

 この分野で高評価なのは都市部か、都市に比較的近い町。「県都金沢市に隣接し、市街地では商業施設や医療施設などの住環境が充実しています」(石川県白山市)「生涯活躍のまちの形成に向けて取り組んでいます」(千葉県匝瑳市)といった町が上位に食い込んだ。

●都市からの近さが人気

 全国約850地域と連携し移住情報を提供するNPO法人ふるさと回帰支援センター代表理事の高橋公さんは、「関東なら山梨や長野、関西なら和歌山など、都会から2~3時間の場所が人気です」という。仕事や社会参加のバリエーションが多いことや、文化的水準が比較的高いことも人気の理由だろう。アエラの調査で「趣味」分野で上位に来たのは北海道函館市や新潟市、静岡市、北九州市など地方の中核都市。その中で小規模ながら上位に入った徳島県三好市は、市内の休・廃校舎を利用して、芸術を使った町おこし拠点やカフェにするなどユニークな試みをしている。こういった観点で老後の移住先を選ぶのも楽しいかもしれない。(編集部・石臥薫子、澤田晃宏、福井洋平)

AERA 2017年5月15日号

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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