なぜ教師が子どもを「いじめ」るのか (1/5) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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なぜ教師が子どもを「いじめ」るのか

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島沢優子AERA
2015年度の児童・生徒のいじめの認知件数は22万件半ばと過去最多。仲裁や報告書作りに追われるのも教師のストレスを増幅させる(撮影/今村拓馬)

2015年度の児童・生徒のいじめの認知件数は22万件半ばと過去最多。仲裁や報告書作りに追われるのも教師のストレスを増幅させる(撮影/今村拓馬)

定松君が差し出したヘルプマーク。人工関節や内部障害など外見ではわからない障害をもつ人が、援助や配慮を得やすくなるよう作製された。外出時はこれが手放せない(撮影/島沢優子)

定松君が差し出したヘルプマーク。人工関節や内部障害など外見ではわからない障害をもつ人が、援助や配慮を得やすくなるよう作製された。外出時はこれが手放せない(撮影/島沢優子)

先生の一日は長い。2014年度「教職員の業務実態調査」(文部科学省)では、全国の公立小学校教師の1日の平均在校時間は11時間35分に及ぶ(撮影/今村拓馬)

先生の一日は長い。2014年度「教職員の業務実態調査」(文部科学省)では、全国の公立小学校教師の1日の平均在校時間は11時間35分に及ぶ(撮影/今村拓馬)

 今年2月、世田谷区立中学校に通う男子生徒と両親が、区立小学校で組み体操の練習中に転倒し後遺症が残ったとして、当時の担任や区に約2千万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。取材に、担任の注意義務違反に加え「不適切な行為」があったと明かしている。

 小学校時代の組み体操練習中の事故について訴えを起こしたのは、定松佳輝さん・啓子さん夫妻とその次男(14)。訴状では、床にマットを敷くなど安全措置を講じず、事故後も適切な対応を取らなかったため後遺症を負ったとして、世田谷区と担任らに計約2千万円の損害賠償を求めている。

 だが、この事故の背景に、教師による「いじめ」とも受け取れる不適切な行為があったと定松君と両親は話す。

 取材のために自宅を訪ねると、白い掛け布団からのぞく定松君の顔色は真っ白。布団から一瞬のぞいた脚は若い女性の腕のように細い。

 いま、東京都世田谷区の区立中学校に通う3年生。友だちは午後の授業を受けて部活に塾にと向かう時間なのに、彼は激しい頭痛や倦怠(けんたい)感に襲われ自室の布団の中にいた。「あの日」から2年近く、ほぼ車いす生活だった。

「頭痛も、すぐ疲れちゃうのもつらい。一番きついのは学校に全部行けないこと。しんどくて早退することが多い」

 と絞り出すように言った。

 同区立小学校に通う6年生だった2014年4月14日、運動会のための組み体操の練習中に倒立で転倒し、後頭部と背中を強打した。ペアを組んだ男児が定松君の倒立を受け取められなかったためだ。その後、フラフラになって歩けず、廊下をはって保健室へ。後に脳脊髄液減少症と診断された。脊髄を守る膜が傷ついて髄液が漏れることで、頭痛やめまいなどの症状が現れる病気だ。

 これは、偶然の不幸な出来事だったのか?

●笑いを取りたいときに彼を使っていたかも

 当時の定松君は中耳炎をこじらせて乳突洞炎になり、学校に「マット運動を禁じる」という診断書を提出していた。彼の身長は155センチ以上と相手の男児より8センチも高く、体重も6キロ以上重かった。明らかな体格差があった。5年生だった前年も同じペアで組み体操に取り組んでいたが、倒立には一度も成功したことがなく、母の啓子さんは「危ないから2人を組ませないで」と学校に訴えていた。

 にもかかわらず、転倒事故は起きた。


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