●女性からの相談が増加

「もちろん購入前には下見にも行きました。商店街が近くにあったので、空室にはならないと思っていたのですが、借り手が現れず、家賃を値下げした。当初の計画よりも、家賃収入が少なくなるという想定外のことが起こりました」(女性)

 同協会では、年間600件程度の相談が寄せられ、投資用物件に関する相談は前年と比べて6割増えた。なかでも、女性からの相談が多くなったという。

「ひと昔前なら正社員でも女性には住宅ローンの審査は通りませんでしたが、最近は男女問わず頭金ゼロでもマンションを購入できるようになりました。投資用マンションも、以前と比べると購入のハードルが下がったので、年収の高い女性なら簡単に入手できるようになったのです」

 同協会の田森雄一東京本部長はこう見る。

 東京カンテイによると、首都圏の新築ワンルームマンションの供給戸数は年間1万件を超え、価格は平均で2765万円(16年)と、バブル期に迫る勢いで上昇し続けている。これに対して平均賃料は戸当たり8万5399円で、年間の家賃収入から購入物件を割って出す平均表面利回りは3.71%と、年々低下している。

 間取りがよくなく、最寄り駅から徒歩7分を超えるような物件には買い手がつかない状態になってきているという。そんななか、地方銀行と販売会社が手を組んで審査のハードルを低くして、借りやすくするといったケースもあるという。

 不動産コンサルタントの長嶋修氏がいう。

「超低金利なので銀行はローンを貸し出さないと利益が出ない状況になりましたが、住宅ローンの新規契約は頭打ち。地元に需要がない地方の銀行が、販売会社と手を組んで東京や神奈川で、投資用マンションのローンを提供しているという話をよく聞きます」

●表面利回りがよくても

 不動産投資に失敗する人の共通項は、収益の見通しが甘いこと。利回りのカラクリに気づいていない人も多いという。

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