「購入する際には、収支のシミュレーションを提示されるのですが、諸経費を低めに設定しているケースを見かけます。表面利回りが仮に年5%などと提示されると、低金利の今、『とてもいい利回りだ』と思ってしまうのですが、管理費や修繕積立金、固定資産税、管理会社への代行手数料などが差し引かれますと、手取りは少なくなり利回りは低下します。家賃収入から諸経費を差し引いた実質利回りを見なければならないところを、表面利回りで判断してしまうことが失敗の原因のひとつです」(長嶋氏)

 さらに、投資用マンションのローンは住宅ローンよりも金利は高く、2~4%に設定されていることが多い。月々の返済額が多いと収入よりも支出が上回り数千~1万円程度、自分の給料から持ち出すケースもザラだという。1万円程度の持ち出しであれば、「生命保険に加入している」レベルで済むのかもしれないが、前出の会社員のように、赤字を補填するために買い増して債務超過に陥るケースも出ている。

 物件が赤字になるかどうかを見極めるためには、経年劣化による家賃の減額分を毎年1%見込むこと。また、入退去時に空室になる期間など「空室リスク」をあらかじめ見込み、家賃が相場の価格とかけ離れていないかどうかを判断する。さらには、修繕積立金など「年々増える費用」を前もって把握する──などと、慎重に判断することが求められる。

●婚活サイトで詐欺

「営業マンのトークでは、家賃収入とローンの支払いばかり注目してしまいますが、家賃収入が入ってきても物件に資産価値がなくなれば意味がない。レントロール(家賃明細書)で、直近の契約賃料や契約期間、空室部分の想定賃料などを確認すると、どんな物件なのかわかります。だいたい営業マンが提示した金額通りにいくことはほとんどありませんね」(同)

 手持ちの赤字物件はどうしたらいいのか。

 前出の女性は、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会のサポートを受け、任意売却することを決意したが、手元には同協会の査定で約600万円の残債が残る見込みという。

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