「多重債務者は私どもに協力する弁護士を紹介して債務整理、自己破産を提案することもあります」(前出・田森氏)

 あまりにも悪質な勧誘や、詐欺まがいの手口で購入してしまった場合は、裁判で売買を帳消しにすることもできる。

 東京のクレジット・リース被害対策弁護団では「投資用マンション被害窓口」を立ち上げ、実際に14年2月から15年10月までの間に、原告計26人が3次にわたる集団訴訟を東京地裁に起こした。集団訴訟は係争中だが、男性の原告1人で提訴していた別の裁判では、昨年3月に一審判決があり、裁判所は被告の勧誘会社と勧誘員に1355万円を支払うように命じた。

 営利目的を隠して婚活サイトに登録した勧誘会社の女性社員の勧めで埼玉県内のワンルームマンションを2300万円で購入したが、契約後は疎遠になり、相場よりも1千万円高額だったことが判明したという。

●サクラ役の上司が登場

 弁護団の平澤慎一弁護士が言う。

「婚活サイトでは、最初はメール交換をして何回か会って、好意を持っていると思わせる。心を許したところで、『税金がもっと安くなる方法があるよ』などと、投資用マンションを勧めてくる。『彼女はあなたのことが本当に好きみたいだ』などと、サクラ役の上司まで登場して、自分の将来のことを考えてくれていると思わせて購入させる。宅建業法では、重要事項説明書の説明を義務づけていますが、投資利回り何%という説明には規制がなく、法律の盲点です」

 投資用マンションという高価な商品を購入する際には、勧誘者の勧めに疑うことなく乗ってしまったり、営業マンが示す利回りを簡単に信じることは厳禁。

 いずれにしても、高額な商品を購入する際には、ひとりで決断しないことが大事といえる。(ライター・村田くみ)

AERA 2017年4月3日号