「彼の言ったことは、相当考えた上での発言だ。それでも入試問題を解いたら暗記丸覚えの『頭のいいバカ』に負けるかもしれない。だけど、浦高生に頭のいいバカはいらない。新しい考えを生み出す力が必要だ」

 教室の風景も変わる。大宮北高校(さいたま市)は、全教室に電子黒板があり、ICT(情報通信技術)環境が揃っている。スマホ片手に電子黒板にプレゼンテーションソフトを映し、生徒と対話する教諭も。板書しながら話し続ける「チョーク&トーク」型の授業を改めた。

 細田眞由美校長はこう話す。

「板書には時間がかかり、ICTの活用により、その分の時間をグループワークや演習に使うことができます」

 リクルート進学総研によれば、こうしたAL型の授業改革に「学校全体で取り組んでいる」高校はすでに全体の24.5%に上る。「担当のみに負担がかかった総合的な学習の時間と違い、ALによる授業改革はすべての教師の問題となっている」(同社の角田浩子「キャリアガイダンス」編集顧問)と課題もあるが、すでに多くの高校現場が新テストに向けて動き始めている。

 4技能を評価する英語の試験改革が学校に与えるインパクトも大きい。3月、1905年創立の麹町学園女子中学校高等学校(千代田区)の授業を見学した。8時半に鶏の声のチャイムが流れ、朝は全学年10分間の「アクティブイングリッシュ」から始まる。プロジェクターに映し出された英文を、リズミカルな音楽に合わせ、音読する。

●公立も海外大視野に

 それだけではない。英語のみで運営される英語村を校内に設置し、フィリピン人講師とオンラインで繋いだマンツーマンレッスンも導入。中学2年ではアイルランドでホームステイを経験する。特別顧問に東進ハイスクールのカリスマ英語講師として知られる安河内哲也さんを迎え、16年に英語教育の大改革を行った。

 15年度に就任した山本三郎校長は、こう話す。

「少子化で私立学校の競争が激化し、保護者の共学志向も強く、女子校は特に苦戦している。20年の大学入試改革に対応する新たな学力観を設け、速いスピードで改革を行った。その柱が英語の授業改革だ」

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