性暴力サバイバーの証言 友人の友人に、友人の父に…加害者も被害者も作りたくない (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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性暴力サバイバーの証言 友人の友人に、友人の父に…加害者も被害者も作りたくない

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野村昌二,深澤友紀AERA
刑法改正案のポイント(AERA 2017年3月27日号より)

刑法改正案のポイント(AERA 2017年3月27日号より)

石田いくみさん/性暴力被害に遭って、いま人生に絶望している人に伝えたい。「傷痕があっても不幸になるわけじゃないよ」(撮影/編集部・深澤友紀)

石田いくみさん/性暴力被害に遭って、いま人生に絶望している人に伝えたい。「傷痕があっても不幸になるわけじゃないよ」(撮影/編集部・深澤友紀)

柳谷和美さん(48)/性暴力被害はなかったことにできないけれど、「笑って幸せに生きることが、加害者の恐怖や支配から脱すること」(撮影/編集部・深澤友紀)

柳谷和美さん(48)/性暴力被害はなかったことにできないけれど、「笑って幸せに生きることが、加害者の恐怖や支配から脱すること」(撮影/編集部・深澤友紀)

 被害者の対象となるのは女性だけ。被害者の告訴がないと罪に問われない。法定刑は強盗罪より軽い。これが、現行刑法における「強姦罪」だ。性犯罪の厳罰化を含む刑法改正案が閣議決定された。社会を動かしたのは、体験を告白し続けた性暴力サバイバーたちだ。

*  *  *
 性暴力被害は被害が外からは見えにくいため理解されにくいが、被害者の半数以上がPTSDを発症するというデータもある。この発症率は災害や事件、事故などによるトラウマ体験と比べても高い。その理由について、精神科医として女性の性暴力被害者の臨床に関わってきた宮地尚子・一橋大学大学院教授はこう説明する。

「性暴力の被害は、加害者と密着し距離がとても近い。そのため、視覚や聴覚、嗅覚、触覚などあらゆる感覚が侵襲され、被害者の体全体に恐ろしい記憶が刻印されてしまうのです」

 自分の体そのものが性暴力を思い出させる「フラッシュバック」のきっかけになることもある。自責や自己否定によって追い詰められ、自殺や自傷行為を繰り返す被害者も多い。「魂の殺人」と呼ばれるゆえんだ。

 そして性暴力被害者たちは、社会の無理解によってもう一度、「二次被害」という名の被害に遭うことも多い。

 勇気を出して家族や友人などに打ち明けても、「なぜ逃げなかったの?」「なぜついていったの?」と非難される。被害自体を軽視されることもある。「誰にも言わないほうがいい」などとアドバイスされると、「これは恥ずかしいことなのだ。自分は汚れた存在だ。価値がないんだ」などと思い込み、ますます自分を責めてしまう。

 公益社団法人被害者支援都民センターで臨床心理士として被害者の支援にかかわる齋藤梓・目白大学専任講師は言う。

「性暴力被害は被害者自身が自責の念を抱いていることが多く、こうした『二次被害』がそれに追い打ちをかける。被害者はいっそう自分を責め、他人を信用できなくなり、社会生活を送れなくなってしまう人もいます」


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