内田樹「ファクト・チェッカーの基準ではトランプは大嘘つき」

eyes 内田樹

ドナルド・トランプ

2017/01/25 07:00

 トランプは選挙期間中に「同時多発テロで世界貿易センタービルが崩壊したとき、アメリカのイスラム教徒は歓声を上げた」「私はイラク戦争に反対した」「米軍は日本防衛に莫大な資源を投じているが、日本はその対価を払っていない」など大量の嘘を吐き続けた。選挙期間中の彼の92発言について「ファクト・チェッカー」は「4ピノキオ」が59、「3ピノキオ」が22、「2ピノキオ」が7、「1ピノキオ」が1、「0ピノキオ」が3という査定を下した。つまり、彼の発言は88%が「深刻な事実誤認ないし嘘」だったということである。一メディアからではあれ、全発言のうちに「ほんとうのこと」が3.3%しか含まれていないという評価を下された人物が大統領になってしまったのである。

 なにより重大なのは、アメリカの有権者たちの多くがこのファクト・チェックの結果を無視したということである。事実だろうが嘘だろうが、とりあえず耳に心地のいい話を聞かされることを彼らは選んだ。

 日本にはファクト・チェックそれ自体が存在しない。日本の政治家が嘘や誇張を口にしないからではもちろんない。嘘と誇張がデフォルトなので査定の意味がないからである。という私の意見は自己採点で「1ピノキオ」。(内田樹)

AERA 2017年1月30日号

内田樹

内田樹

内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数

このコラムニストの記事をすべて見る
1 2

あわせて読みたい

  • 海外に比べて遅れている日本の「ファクトチェック」

    海外に比べて遅れている日本の「ファクトチェック」

    AERA

    6/7

    ピノキオピー、2020年ライブツアー【AKEBONO】開催発表、新曲「アルティメットセンパイ」MV公開

    ピノキオピー、2020年ライブツアー【AKEBONO】開催発表、新曲「アルティメットセンパイ」MV公開

    Billboard JAPAN

    10/18

  • 東京スカパラダイスオーケストラ 12/23にディズニー・カバーアルバムリリース

    東京スカパラダイスオーケストラ 12/23にディズニー・カバーアルバムリリース

    Billboard JAPAN

    12/4

    ピノキオピー、様々な愛にフォーカスしたニューアルバム『ラヴ』8月リリース

    ピノキオピー、様々な愛にフォーカスしたニューアルバム『ラヴ』8月リリース

    Billboard JAPAN

    5/26

  • セリーヌ&ピーボ/木村カエラ/松たか子/AKB48等こぞって参加 ディズニー究極ベストアルバム発売

    セリーヌ&ピーボ/木村カエラ/松たか子/AKB48等こぞって参加 ディズニー究極ベストアルバム発売

    Billboard JAPAN

    9/15

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

コメント

カテゴリから探す