「空き家や空き家予備軍を抱える高齢者に、問題の先送りをさせないよう、若い世代がサポートすることが必要です」

 空き家問題に詳しい弁護士法人リレーションの川義郎弁護士はこう訴える。実家が空き家予備軍の場合は親とどう処分したいか話し合い、将来の売却などを見すえて定期的な補修や片づけをすべきだという。

「実家に帰るたびに物を捨てるのを手伝う、壁のペンキの塗り直しなどの補修について話し合うなど、地道な努力を積み重ねることが大切。こまめに対応していれば処分や管理もやりやすくなり、空き家になりにくい。結果的に家の資産価値を高めることになります」(川弁護士)

●処分希望とアピールを

「親の財産の棚卸しをし、全体を把握することも大切です」

 こうアドバイスするのは『解決!空き家問題』著者の中川寛子さん。明らかに売れない物件は相続放棄も選択肢に入ってくる。この場合、すべての資産を同時に放棄しなければならないため、他の資産も把握し天秤にかけなければ結論が出せない。

 実際に空き家を処分するとなった場合はどうするか。

「空き家を放置しているだけでは、近隣に家を使いたいというニーズがあってもつかめない。売却希望の旨と連絡先を書いた看板を掲げる程度のことでもいいので処分したい土地だとアピールしましょう」(中川さん)

 処分方法としては(1)売却(2)更地にしての売却(3)賃貸(4)譲渡(5)自治体への寄付(6)相続放棄(7)解体・放置などが考えられる。

●賃貸には難しさも

「賃貸より、早い段階で売却したほうがシンプル。賃貸の場合、築30年を超え、老朽化しているような物件は、リフォームなどの費用が家賃収入を上回りかねない。2、3年で初期投資や維持費を回収できないものの賃貸はやめたほうがいい」

 こう話すのは『どうする? 親の家の空き家問題』著者の大久保恭子さん。

 賃貸の場合、家賃の未納などのトラブル解決に時間がかかったり、空室状態が数年続いてしまったりする可能性があり、リスクを伴う。何かあると遠方の実家に戻らなければならなくなるというのも結構な手間だ。

 老朽化がひどい場合は解体も選択肢のひとつ。ただし更地にすると、固定資産税が最大6分の1に、都市計画税が同3分の1に軽減される特例が受けられなくなってしまい、税額が上がってしまう。かといって放置した結果、倒壊の恐れがあるなど周辺の生活環境に悪影響を与えかねない「特定空き家」に指定されると、これらの特例が受けられないうえ、行政から補修や解体を求められることになる。

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