クラウドソーシングサイト大手ランサーズの募集案件検索画面(スマホ)。ライターに限らず、カメラマンなど、様々な職種の案件が掲載されている(撮影/写真部・加藤夏子)
クラウドソーシングサイト大手ランサーズの募集案件検索画面(スマホ)。ライターに限らず、カメラマンなど、様々な職種の案件が掲載されている(撮影/写真部・加藤夏子)

 医療情報サイト「WELQ(ウェルク)」閉鎖騒動で注目されたWebライターはどうやって記事を作るのか。1文字1円以下の激安報酬が標準ともいわれるが、月収80万円の強者も。

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 都内のマンションの一室。20代のWebライターの男性に「SMAP解散」というテーマで、記事を作ってもらった。

 まず、ノートPCのディスプレイ左側に文書作成ソフト「Word」を、右側にインターネットのウィンドーを開いた。ポータルサイトのニュース検索窓にキーワードを入れ、関連記事に目を通す。使えそうな記事はコピーし、ワードに貼りつける。

 男性はさらにニュースサイト「サイゾーウーマン」とSNSのツイッターのウィンドーを開いた。前者は芸能ニュースを書く際に必ず目を通すサイトで、後者はツイートを記事中のコメント作成で参考にするという。

 コピペした記事をつなぎ合わせ、断定表現を避けるため専門家の見解などは「◯◯という意見もある」などと丸めていく。最後の仕上げは「コピペチェック」だ。ネット上には無料のコピペチェックサイトが複数ある。約1500字の記事の作成にかかった時間は20分程度だった。

「元の記事と3割程度の一致なら問題ないが、WELQ騒動の影響もあり、クライアントもコピペには敏感になっている。語尾や構成の変更だけでなく独自の見方を加えることも重要です」

 昨年12月、医療情報サイト「WELQ」に不正確な情報や著作権を侵害する記事があったとして、サイトを運営するインターネットサービス会社ディー・エヌ・エーがWELQを含めた自社の10媒体を非公開にし、謝罪会見をした。

 WELQの記事は、個人・企業からの仕事を、ネット上で仲介するクラウドソーシングサイトを通じて集められたWebライターが、2千字1千円程度の報酬で書いたものだ。記者が冒頭の男性を取材するには、交通費だけでも往復940円かかる。こうした取材経費は男性には支給されない。自宅でコピペを駆使した「記事作成」になるのは必然だろう。

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