●知事と職員をつなぐ

 知事に次ぐナンバー2の副知事は、外部から任命されるケースが多い他の地方自治体と異なり、都職員が任命されることが多い。

「東京都の場合は、知事は外部から来るので、副知事には知事と都職員の間をつなぎ調整する役割もある。伝統的に都職員がなることが多いのです」(青山さん)

 一方、小池知事が立ち上げた都政改革本部では11人の特別顧問ら、外部の有識者が招かれた。2020年東京五輪・パラリンピックの競技会場見直し案をまとめるなど積極的な活動を行っているが、外部の有識者によって職員の知らないうちに密室で進められるのではという懸念の声もある。

 東京の自治体専門紙「都政新報」編集長の後藤貴智さんは、

「自律改革と言いつつ、外から来た部隊がいろいろと立案するというのは、矛盾もありますね」

 と指摘する。

 前出の青山さんも、

「外部から専門家が来るのは好ましいことですが、幹部や都職員と対等に議論させるべき。それが、知事の虎の威を借りて……と、もしなったら都政は混乱します」

 と釘を刺す。

●業績と試験で出世へ

 最後に、主に執行機関で行政を進める都職員を見てみよう。都職員は優秀なエリート官僚という評判が高い。どのように出世コースを歩んでいくのだろうか?

 まず、採用時には、国家公務員のように出世コースの「キャリア」、一定以上出世しない「ノンキャリア」といった区別はない。採用試験は事務系や技術系などの区分はあるが、入ってからの出世レースは出身大学や採用時の試験にかかわらず、同じ地点からスタートするというわけだ。

 多くの都職員は、入庁するとまず水道局や医療機関、福祉施設、教育機関といった現場に数年間配属される。その後、本庁に配属されるケースが多い。キャリア形成の中では、複数の局をまたいで異動することも多いという。

 出世を決めるのが、管理職試験だ。課長以上の役職に上がるためには、管理職試験に受かる必要がある。最近では、働き方も多様化し、出世を望まず管理職試験を受けない職員も少なくないというが、それでも10倍という競争があり、司法試験並みの超難関ともいわれる。

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