●「機を見るに敏」な主張

 逆にしばしば話題にのぼったのは、安倍首相は別格として、たとえば次のような政治家の面々だった。平沼赳夫氏、中山恭子氏、稲田朋美氏、山谷えり子氏、有村治子氏、衛藤晟一氏……。平沼氏は同懇談会の会長を長く務め、中山氏は古くから復古派の筆頭格。稲田氏は安倍首相に続く“期待の星”ととらえられ、山谷氏や有村氏は日本会議を支える神社本庁が選挙を支援している。衛藤氏はもともと新興宗教団体・生長の家の活動家であり、日本会議の中枢を担う生長の家の元活動家らと深い関係を持つ。いわば日本会議直系の政治家である。

 こうした面々に比べれば、日本会議における小池氏の存在感はさほど大きくない。小池氏自身、都知事選後の会見で日本会議について「日本の国益、伝統、歴史は大切にするという点では賛成している」としつつ、「ここ数年は距離を置いている」とも述べている。

 おそらくはそのとおりなのだろう。つまり「賽銭を入れるような感じ」では決してないが、どっぷりと日本会議に漬かり、期待を寄せられているわけでもない。

 だが、都知事としてこれだけ注目される存在になった後、再び変化するのか。右に舵を切った方が得策だと判断すれば、利にさとい小池氏は切る可能性もある。(ジャーナリスト・青木理)

AERA 2016年11月14日号