部長の意図を部下に伝える。部下の動向を部長にわかってもらう。どちらも「課長」の重要な役割だ。課長たちの「全身アンテナ」ぶりは涙ぐましい。
近畿大学の広報課長、加藤公代さん(46)の机は、上司である広報部長の目の前。多忙な部長が珍しく席にいるときは、加藤さんにとって貴重なコミュニケーションの時間だ。
直接部長と話すわけではない。来客や電話、周囲の人との立ち話など、上司の会話に耳をそばだてるのだ。するとだいたいわかってくる、と加藤さんは言う。
「ああ、次はこういう案件をやるんだな」
必要と思われる資料を準備したり、スケジュールの心積もりをしたり。それだけで、仕事のスピード感が増す。
●キーワードは「早め」
部長のオフィシャルなスケジュールは学内システムで見ることができるので、もちろんバッチリ把握している。空き時間を見計らって、部長決裁が必要な案件や相談ごとをまとめて持っていくためだ。
「部員の中には、仕事に集中しているとまわりの声や音が聞こえないという人もいますが、私はなるべく部長のやっていることは意識して聞いておき、スケジュールも把握しておこう、と指導しています」
写真の撮り方やプレスリリースの文言など、部長がこだわるポイント、逆にこだわらないポイントを把握して、部下と共有するのも加藤さんの仕事だ。
「部長の意図や仕事のやり方を理解して、それをうまく部下に伝えることも、自分の役割の一つです」