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“次世代型”路面電車が地方の中核都市を再生する?

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編集部・福井洋平AERA#鉄道

福井/福井鉄道が2013年に導入した低床車両「FUKURAM(フクラム)」。乗り入れにも使われる。市役所前駅で(撮影/福井洋平)

福井/福井鉄道が2013年に導入した低床車両「FUKURAM(フクラム)」。乗り入れにも使われる。市役所前駅で(撮影/福井洋平)

 どこか懐かしい響きのある路面電車。新機能が加わった“次世代型”が今、注目を浴びる。整備には課題もあるが、高齢化社会の救世主になるか。

 JR宇都宮駅から東に約10キロ、自動車で約30分の地に広がる住宅地、テクノポリスセンター地区。キヤノンや本田技研などのある工業団地群に近く、1997年度から区画整理事業が始まった。そこに2021年度を目指し小学校を新設する計画が持ち上がっている。市内の小学校新設は95年以来、合併前の宇都宮市に限ると90年以来だ。

 この地の人口増を後押ししているのが、LRT(次世代型路面電車システム)だ。宇都宮駅の東口からこの地区を通り、本田技研の工場がある隣町の芳賀町まで約15キロを結ぶ計画で、宇都宮市は16年度の着工、19年度の完成を目指している。4年前からここに住む40代のパートタイム女性は、

「この地区は市内行きのバスも少なく料金も割高。今後自分たちが年をとって自動車通勤が難しくなったり、子どもがJR宇都宮駅を使って通学、通勤したりする可能性を考えると、LRTが来ることはありがたい」

 と期待を寄せる。

「『市内に家を新築したいが、LRTの計画はどうなっているのか』という問い合わせも来るようになりました」

 そう語るのは、宇都宮市LRT整備室の大根田友範さん。市街地から鬼怒川を越えて東部の工業団地群を結ぶ交通はこれまで車に頼ってきたが、慢性的に渋滞が発生し、市は約20年前からモノレールや新交通システムを検討してきた。その中で「都市規模を考えると一番適切」として浮上したのがLRTだった。総工費458億円の半額は国が負担し、2市町が計51%を出資する「宇都宮ライトレール株式会社」が運行を担当する。開業2年目から単年度黒字が実現されると市は試算する。

●中核都市にマッチ

 日本の路面電車は最盛期の1932年、82の事業者が計1479キロに及ぶ路線網をもっていた。だが自動車の普及で大阪市(69年)、横浜市(72年)、名古屋市(74年)、京都市(78年)と路面電車を全廃する都市が相次ぎ、現在は上のチャートのとおり19事業者、計約200キロにまで路線網が縮小した。

 それが21世紀に入り、路面電車が都市交通の活性化につながるとして再評価されるようになった。起爆剤となったのが、車両の床を低くしてバリアフリーを実現し、道路や他の交通機関からの乗り換えをスムーズにする新しい路面電車、LRTだ。


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