大阪府の50代女性と60代男性の夫婦も、ホスト歴3年で十数軒を運営する。夫はリタイア後にホストを開始した。訪日外国人との交流を続けるうち、虚脱状態だった生活にハリが出たが、複数物件で近隣住民からの通報が入った。不動産サイト掲示板に「変な中国人が出入りしている」と書かれ、愕然とした。

 ホストと近隣住民との摩擦は、エアビ日本法人も認識しているようだ。代表取締役の田邉泰之さんはこう言う。

「直近の動きとして、(エアビサイト上に)ホストと近隣の皆様との橋渡しをする相談窓口を設置している」

 エアビホストへの苦情だと判明した場合は、ホストに「懸念」として伝える。が、懸念の核心が「外国人アレルギー」だった場合、プラットフォーマーの管理能力を超えはしないか。これは、日本社会全体の問題だ。

●民泊新法は進むか

 ネックだった法整備は進む兆しがある。通称「民泊新法」の有識者検討会(観光庁と厚生労働省)は、最終報告書まで及んでいる。主な方向性は三つだ。「消防法や衛生設備の規制は緩和」する。次いで、「年間提供日数は180日以下」とし、「家主居住型/家主不在型の区別に応じ、規制の重さが変わる」というものだ。管理面で不安のある「家主不在型」は、「管理者」に管理委託する方向が検討される。自民党「ちんたい議連」は、賃貸住宅管理業者や、宅建業者が「管理者」としてビジネス参入できる環境整備を狙う。

 あと4年で、日本の民泊文化はどこまで成熟できるのか。(編集部・岡本俊浩)

AERA 2016年8月29日号