今、食物アレルギーの新たな治療法が注目されている。アレルギーの原因となっている食物を少しずつ食べて治す方法なのだが、取り入れるには注意が必要なようだ。
食物アレルギーの医療はここ10年ほどで大きく変わった。原因食物がわかった場合、以前は完全除去が指導されていた。だが、アレルギーの原因と考えられるものを少量食べさせて反応を見る『食物経口負荷試験』などで一定量は食べられると判断された場合、必要な栄養を可能な限り摂取させる「必要最小限の除去」が主流になっている。近年注目されている「経口免疫療法」は、その延長線上の治療と言えるだろう。
経口免疫療法は、原因食物をごく少量から毎日食べ、段階的に増やして目標量を食べられるようにしていく治療法だ。
まず負荷試験でその子が原因食物をどれくらい摂取するとアレルギー反応が出るのか、上限を確認する。この上限によって、牛乳なら1日5㏄から始められる子もいれば、1㏄からスタートしなければならない子もいる。食べれば当然アレルギー症状は出るが、重い症状でなければ徐々に量を増やし、目標達成を目指す。牛乳の最終目標は昭和大学の場合、200㏄だ。
目標量に達したら、そのまま食べ続け、3カ月間症状なく経過したら今度は14日間完全除去した後、15日目に病院で200㏄を摂取。アレルギー症状が起こらなければ治療終了だ。
無症状が3カ月続いても、14日間抜けば、15日目に飲んだときに半数がアレルギー症状を起こす。少し戻ってやり直すが、何回か繰り返すことで、多くが最終目標を達成できるという。
「小麦は8割以上が成功します。次いで卵。牛乳はやや難しい。食べられるようになるケースが多いですが、治療中に症状が強く出て、中止せざるを得ない場合もあります」(同)