今回、和解が成立したのは、最初の代執行訴訟だ。「工事の停止」を盛り込んだ暫定案と、代替施設建設を認める根本案の二つの和解案を福岡高裁那覇支部が提示。暫定案については、県が前向きに検討する意向を示していた。

 これに対し、国側は当初、「絶対に乗れない」と和解を拒絶する構えだった。安倍政権の方針転換の背景には何があったのか。

 沖縄国際大学の佐藤学教授(政治学)は、「安倍政権の行政代執行が行政法理上、過程を飛ばした無理筋であることが司法の和解勧告の背景にあると考えられる」と指摘。「国はその点を考慮するとともに、6月投開票の沖縄県議選、夏の参院選、あるいは解散総選挙の日程を考え、昨年夏の集中協議の際と同様、辺野古での衝突の報道がなされるのを避ける判断をしたのだろう」とみる。

 安倍首相は談話で「司法判断が下された場合には国も沖縄県もその判断に従う」と強調した。この和解案に沿って、矛を収めることを強いられるのは、国か沖縄県か。(アエラ編集部)

AERA  2016年3月14日号より抜粋