例えば「アーキテクチャー設計」の授業で、ある概念図を見た。極めて抽象的な図だったが、ITシステムの開発、生活の仕組み、社会システムなど、様々なことに応用できると気づいた。

「見た途端、頭がぐるぐると回りはじめた。これまでの経験を当てはめ、どう生かせるかを考えることができたのです」
 
 50代での学びによって、これまでの経験が生きる場が見えてくる。若い世代との触れ合いも刺激になる。グループワークは、メールでなくフェイスブックのグループメッセージで進める。議論中も、分からないことはその場でグーグルで検索。仕事の仕方もアップデート中だ。

 一方、体力面は正直しんどい。平日は仕事、土曜は朝から夕方まで授業。日曜はグループワークや課題で潰れるから、休みはほぼない。でも、健康状態はすこぶるいいと言う。ここだけの話、お通じも良くなった。

「疲労はあるけど、脳にはハッピーなことが増えた、ということでしょうか」

 将来は大学で教鞭をとることが目標だ。

AERA  2015年12月7日号より抜粋