多趣味な母と違い、自動車の技術者だった父は好きなことを究めるタイプだった。父は学生の森野に図面を見せては、読み方を教えてくれた。これも、森野の好奇心を育てた。

 森野は会社の先輩と社内結婚し、現在は2児の母でもある。出産後も変わらず仕事好きで、第2子出産の3週間後にあったHTV2の打ち上げの際は、育休中にもかかわらず種子島までかけつけた。夫は現在、ロケットのエンジンの設計を担当。森野の母親の協力を得て、仕事も育児も全力投球だ。

 テレビでHTV打ち上げが報道されたとき、子どもたちに、「お父さんはこの部分、お母さんはこの部分を担当したんだよ」と説明した。小学生の娘は菌類に興味を持ち始めて生物学について知りたがり、幼稚園児の息子は「おもちゃを買ってあげる」と言った祖母に、カエルの解剖模型をねだる。

「『なぜ?』と聞かれたとき、子どもたちが理解できるかどうかは関係なく、自分ができる最高の説明をするようにしています。私自身もわからないときは一緒に調べます。子どもの知りたい気持ちに最後まで付き合うことで、好奇心を伸ばしたい」

AERA  2015年10月26日号より抜粋