インスタグラムから生まれたスターはこむぎだけではない。ユニクロ銀座店のインスタグラムアカウントuniqlo_ginzaは、ユニクロの服をおしゃれに着こなす人のコーディネート写真をキュレーションしている。紹介されるのは日常的にコーディネート写真をアップする一般人がほとんど。1万人を超えるフォロワーを集める強者もいる。ユニクロ銀座店のインスタグラム担当は言う。

「ハッシュタグをつけて写真を投稿すると、情報がファンにダイレクトに届く。500円のTシャツを上手に着こなす女性を紹介したら、数日後に早速買いに行きましたというコメントをもらった。メディアになるんじゃないかと思った瞬間です」

 個人のメディア化における究極の形が「サロン」だ。

 作家の石田衣良さんなど著名人の有料メルマガを配信する夜間飛行の井之上達矢さんは、「今までのようなメルマガだけでは読者が満足しなくなった」と感じている。だが、文字だけの情報にお金を払う人が減る一方で、特定のフェイスブックグループに入れたりオフ会に参加できたりと、「自分が好きな誰か」との関係を濃密にする空間を提供すれば、お金を払う人は多い。シナプス運営のオンラインサロンも、有料会員は6千人超。20代後半から30代を中心に増え続けている。1番人気は堀江貴文さんのサロンだ。

 憧れのあの人と一緒に何かしたい。ビジネスの最前線を体感したい。SNSを通じて、ネット上で多くのつながりを持てるようになったいま、人々は、かつての文壇バーのような濃密なコミュニケーションを求めることで、バランスを保とうとしているのか。

週刊朝日 2015年7月13日号より抜粋