Viv Labs共同創設者兼エンジニアリング担当副社長アダム・チェイヤーさん(48)UCLAで修士号取得。SRIインターナショナルで手がけたプロジェクトからSiriが誕生。別のAI会社「センティエント」の共同創設者でもある(撮影/瀧口範子)
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Viv Labs共同創設者兼エンジニアリング担当副社長
アダム・チェイヤー
さん(48)
UCLAで修士号取得。SRIインターナショナルで手がけたプロジェクトからSiriが誕生。別のAI会社「センティエント」の共同創設者でもある(撮影/瀧口範子)

 アップルの「Siri」、グーグルの「OKグーグル」など、すっかり一般に普及した言語認識機能。最先端をいく米国では、さらに一歩進んだAIも登場している。

 大企業の外にいながら、大規模なAIの開発を目指すのは、アダム・チェイヤー氏だ。アップルが買収したSiriの共同創業者で、Siriにつながった研究をシリコンバレーの研究機関「SRIインターナショナル」で推進した人物だ。アップルに2年在籍した後、独立して「Viv Labs(ヴィヴ・ラブズ)」を立ち上げた。手がけるのは、いくつものタスクを連係させて遂行できるAIの開発。チェイヤー氏はこう説明する。

「今のSiriやOKグーグルは、せいぜい20くらいのことしか実行できません。一方、ヴィヴでは2千くらいのことをできるようにしたい」

 たとえば、AIに「今夜8時に、母親の家から遠くない場所で、おいしいワインが飲めるレストランに4人のテーブルを予約してほしい。途中で花も買いたい」と伝える。すると、花屋の前を通って行けるレストランで、ワインのセレクションがたくさんあり、母親の家からも近い店を探し、午後8時に4人のテーブルを予約する。

 通常ならば、何種類もの検索や調べものをして、ようやくできるようなことを、AIのエージェントがまとめて行う。配車をするAI、レストラン予約をするAIなど、特定のタスクを行うAIをつなぎ合わせ、ヴィヴのAIがそれらをつなぐ。このしくみによって、複数のAIが有機的に結びつく大きな「エコシステム」をつくるという構想だ。現在、初期段階のシステムを関係者らでテスト中という。

AERA 2015年6月15日号より抜粋