では、どうすればいくつになってもいきいきと働き続けることができるのか。同社のキャリアカウンセラー西山浩次さんいわく、

「キャリアの成熟よりも“適応力”が大事になってきます」

 どんな環境に置かれても適応できる力がなければ、長くなった仕事人生を最後までまっとうすることはできない。一言で言えば、過去のキャリアにしがみつくな、ということだ。 現に人事側の声を聞いてみると、40~50代社員に対してこんな課題を感じているという。
 
 50~55歳の役職定年者に対しては、「本人がポストオフを受けた感覚がなく、管理職を外れても上司の意識があり、年下上司は扱いに困る」。中高年の専門職に関しては、「管理職を希望しないエキスパート社員のキャリアパスをどうするか」。40代非管理職社員については、「上位ポストがなく、昇格機会が得られない」。

 しかし、課題があるからといって解雇はできない。40~50代社員に「長く戦力として働いてほしい」と願っている企業は多いそうだ。

「こうした人事側からのメッセージが、うまく本人に伝わっていないから、キャリアダウンやポストオフを機にやる気を失ってしまう。社員だけでなく組織全体の意識改革が必要です」(西山さん)

AERA 2015年5月18日号より抜粋