高知県庁で使われていた東洋ゴム工業の免震ゴム。55棟以外にも偽装の疑いが浮上し、国交省は全容解明と報告を同社に指示した (c)朝日新聞社 @@写禁
高知県庁で使われていた東洋ゴム工業の免震ゴム。55棟以外にも偽装の疑いが浮上し、国交省は全容解明と報告を同社に指示した (c)朝日新聞社 @@写禁

 多くの人に不安を与えている東洋ゴムの免震偽装問題。性能偽装の免震ゴムを使った建物は、緊急調査で倒壊の恐れなしとされた。ただし、国の基準は最低限の安全性しか求めていない。

「国の基準は最低限の安全性しか求めていません」

 耐震建築の専門家はしばしばこう指摘する。だから、基準に上乗せした地震対策が必要だと訴え、選択肢として免震構造を挙げてきた。その土台を、東洋ゴム工業(大阪市)による免震ゴムの性能偽装問題は揺らし続けている。

 4月3日、国土交通省は再発防止策を検討するために「免震材料に関する第三者委員会」を設けた。1回目の会合では、国の認定基準を満たしていない製品が使われた55棟の安全性が検討された。

 東洋ゴムによる緊急調査では、震度6強から7程度の地震における(1)上部構造の変形(2)免震層の変形がチェックされた。免震は、建物を地面から切り離して間に「免震ゴム」を置くことで、揺れを受け流す仕組みだ。地震時にはゴムが変形して、上の建物(上部構造)へ揺れを伝えにくくし、建物の揺れや変形を抑える。(1)でこの変形が大きくなりすぎて倒壊する恐れがないかをチェックした。

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